いま、君の目に映るもの
いま、何が見えていますか?
レンタルなんもしない人の台本ですか?
ゴチの企画書ですか?
ネタパレやソレダメの資料ですか?
ミュージカルの台本ですか?
この仕事が好きなあなたの目に映るものは、あなたの活動の輝かしいものであって欲しい。
ついにそう願うようになってしまった。
何も思わなかったわけではないけど、何かを言うほど自分の腹に揺るがぬものがあるわけでもなくて、これはやりすごすべきかもと思っていた。ペンライト眺めたりUR大合唱に涙したり、ミュージカルはどうやって応募したらいいかなって悩んだりananの大変な表紙を見て乱れ打つ心臓を宥めたり、まあそれなりに色々と忙しかった。
増田さんも、ゴチで100万円取ったり新たなナレーションの仕事が決まったりして充実しているように見える。
歯車が噛み合わなくなったのは月曜の夜からだろうな。
ゆっくり慎重に噛み合わせていた歯車は、ほんの数秒の映像で噛み合わなくなるらしい。
ほんの数秒の動画だったとしても、「この企画のためにツアTリメイクする増田さん天才!!!!!」と騒ぐし、誰かが見つけたクローバーのネックレスの写真と思しきものをリツイートしてのたうちまわる。
これが私の通常営業。
しかし、いつもならお祭り騒ぎで始めるツイートがまるでできないどころか動画のリピートすらできない。
辛かった。3人でステージに立つ姿を見てられなくて、増田さんの笑顔が辛かった。
自担の笑顔がキツいと思うなんて、自分は最低だって思った。
増田さん…というかコヤマスシゲの3人は今のNEWSにできることをやる意向を先月から表明していたし、3人であることは事前のお知らせで知っていた。一回か二回くらいは、シュミレーションもした。この回数の少なさから、この案件からどれほど逃げ回っていたのかお察しなのだけど。
なんとなく背を向けていた案件に直面した時の絶望感はすごかったな。
4人でギュッとまとまるはずだったところにひとり足りない。
あんなにも見慣れた4つのシルエットは、何故か3つしかない。見慣れない。脳みそが『これはNEWSです』と認知することを拒んでいるみたいだった。
そして2年前のあの時とまるで違う。なんだ?何が違う?
耳に入ってくるどこの誰が言ったかわからない情報をできるだけ排除し、噂話に踊らされてしまう不安定なオタクの発言も全部取り払ったとしても、漠然とした“違い”は消えない。
何かが違う。増田さんの何かが。
〇〇だ。と気がつくまで少し時間を要した。
それほど私の頭にもいらん情報から受ける影響はあるのだろう。
2年前と決定的に違うのは増田さんが言った『NEWSを守ります』だと思う。
守るってなんだ?えっ何から?
時差もいいとこだろうよ、と自分に嫌気が差すが、私のタイミングは今だったようなので今更ながら〇〇と向き合って考える。NEWSは守らなければいけない状況なのか?守らないと無くなってしまうの?NEWSは続いていくものでしょう?STORYもいいタイミングを探しているだけで、いつかはやるじゃない。どうして?2年前は待ってたら全てが収まると信じてやまなかった。だけど今はどうしても崖の淵に立たされている感覚になる。
こんなこと言って不安を煽ってしまったらほんとに申し訳ない。
だけどなんだか急に目の前が真っ暗になって、増田さんの笑顔がキツいと感じる自分に絶望した。
何言ってんだわたしは。ものすごく広い意味ではわたしのために増田さんは笑ってくれてんだろうが!寝言は寝て言え!いい加減にしろ!と自分に喝を入れてもダメなもんはダメだった。
辛いのは増田さん自身なのにな。
私は過剰にアイドルを心配する言葉をネットに放り込むことを自分で許さない。アイドルを信用してオタクやってる以上はとことん信じる。アイドルの限界をオタクが決めてはいけないという自分の美学に沿って生きてる。まあネットの海以外では死ぬほどいうけど。心配症だから。
でも今回は言わせてもらう。
絶対辛いのに、NEWSにできることを全うするため、笑顔で、しかも1人、それもいつでもどんな時も相方として君の隣にいたはずの相方が欠けた状態でステージに立つ君は、どんな気持ちで歌を歌ったのだろうか。
本来ならいるはずの、私たちもいないところで歌う歌は、君の耳にはいつも通りに聞こえた?そんなわけないよね。
想像しただけで頭をシャットダウンしたくなる。緊張も孤独感もあったかもしれない。まだ全貌が見えないので滅多なことは言いたくないけどきっと歌割も変わった。歌割が…変わる…。
NEWSにとっててごちゃんの声が無いこと、てごちゃんベースで年々キーが上がりまくる楽曲をてごちゃん抜きで歌うこと、外部向けとも言えるチャリティーコンサートなので恐らくメジャーどころのセットリストが組まれているだろう。つまりNEWS担でも耳馴染みのあの曲やあの曲が、未来が見えない状態で不可抗力のRepresentされてしまうこと。書けば書くほどもうやめたくなる。
そして無力だなあと思い知る。
クローバーの歌詞にこんなフレーズがある。
『優しい君が探してた場所が 僕らの愛したここだといいが』のところ、わたしはすごく好き。
増田さんが書いたパートなのだけど、わたしの解釈では“僕らの愛したここ”にきっとコンサートが含まれる。そして“僕ら”は紛れもなくNEWSちゃんたちなのだろうけど、わたしは、私たちファンも含めた“僕ら”なんだって勝手に思ってる。
ものすごく自惚れた話をするけど、わたしは観客もコンサートの一部だと思ってる。
歓声やペンライト、一緒に踊ったり、私たちは特に歌うパートも多い。そしてステージに立つNEWSちゃん。それら全部が合わさった時、完全な状態のコンサートが生まれると思っている。今回の配信は粋な演出が多く、客席にはペンライトのような装飾が施されており、まるで制御されているかのように色が変わる。
だけど、お客さんがいないから歓声が、無い。
『コンサートはするのも見るのも好き』と豪語する増田さんが、お客さんがいない、完全でない形のステージに立たなければいけないこと。
そして、もしかしたらアイドル人生で5本の指に入るくらいしんどいかもしれないこと。
1番肝心な時に歓声をかけてあげられないということ。確かに手紙を書くとか、気持ちを伝えられる方法が無いわけではないのはわかってる。
ただ、コンサートのエネルギーを信じる人が、ペンライトの海の美しさを知る人が感じる孤独はどんなもんなのか。計り知れなくて怖い。
クローバーの歌詞はこう続く。
『誰かを傷つけるヤツから ただお前を守れる言葉が
いつでもいつもここに来て、
俺に甘えていいんだよって伝えてあげたいだけなんだ』
できることならそっくりそのまま君にこの言葉を返したい。
笑っちゃうくらい無力なオタクだけど、誰に指をさされようとも君の味方でいるよ。
もう祈るくらいしか思いつかないんだ。
何を祈ればいいのか、どうなればいいのか、そんな難しいことは何もわからない。
ただ今は、君の目に映る世界が少しでも希望のある世界であれと願うだけ。